夏休み最終盤に公開された「ぼくらの旗」は、8月29、30日の2日間に全国で約68万人を動員、興行収入は約8億7000万円に達した。
1作目「終わりの始まり」(昨年8月公開)が興収39億円、2作目「最後の希望」(今年1月公開)が興収30億円。「観客の出足から見積もって、3作目は50億円が十分見込める」と配給元はホクホクだ。
物語は、幼なじみの男女が人類滅亡の危機に立ち向かう壮大なSFで、原作は全22巻、2500万部の発行部数を誇る。それだけに上映が決まった当初は、コアなファンから「映像化は無理」という声があがり、映画評論家には「3部作とは長すぎる」など批判的な見方もあった。
豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦らが出演する映画の脚本は原作者の浦沢氏に加え、漫画編集者やテレビドラマのヒットメーカーらが共同であたった。今回の「ぼくらの旗」については、とくに原作と異なるラストシーンの情報漏れを徹底管理した。
「試写会では、最後の10分間を封印して見せなかった」と一部の評論家からブーイングがあがったものの、それがかえってファンの飢餓感を煽りヒットに結びついたようだ。
パソコンと携帯電話によるアンケートによると、映画館に足を運んだ観客の男女比は64対36。年齢別では20代が最も多く23.4%、次いで40代が22.9%。「小学生とその親という家族連れも目立っている」(都内の劇場)
また、DVDとブルーレイで発売された2作目の「最後の希望」は、発売1週目に売り上げランキングの首位を獲得。8月28日には日本テレビ系「金曜ロードショー」でオリジナル製作の「20世紀少年〜もう一つの第2章〜」を放送するなど、メディアミックスによる攻めの姿勢を見せている。
(9月2日 夕刊フジ)